自然体

自然体というのは、元々は柔道の用語で、体の力を抜いて自然に立つ基本姿勢をいいます。
両足を肩幅に広げ、かかとに体重を均等にかけて、自然にまっすぐに立つようにします。

画像は『嘉納先生伝』より嘉納 治五郎先生。
講道館の創設者で、柔道の父とも呼ばれる人です。

完璧な自然体は
①体に無駄な力が入っていない
②重心が左右のどちらにも傾いていない
③重心が前後のどちらにも傾いていない
④重心が上下のどちらにも傾いていない
…という状態です。

自然体を作るというのは、絵に例えるならば、絵を描く前にまっしろな紙を用意する事なんですが、演劇の勉強を始めたばかりの人の多くはこれが全然出来ません。
素人さんの舞台演劇を観に行った時、肩が上がって、顔を前に突き出した、エヴァンゲリオンのような姿勢で演技をしている人をたくさん見かけませんか?

(C)カラー/EVA製作委員会

これは自然体をきちんと出来ない人が力で感情を絞り出そうとする時の姿勢で、常にこの姿勢で演技をする人達の舞台は、観ている方も疲れてしまいます。

体のコントロールが上手く出来ない内は「集中すると体が緊張する、脱力すると集中力が無くなる」となってしまうのですが、自然体をマスターすると「集中力を保ったまま脱力する」という状態を、いつでも、どんな姿勢でも作れるようになります

演技レベルが一気に上がる強力なスキルで、これをマスターする事によって、緊張と弛緩を操り、魔法のような感動を生み出す役者になる為の扉が開かれるでしょう。

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