マストの沼

「〇〇しなければならない」「××してはいけない」という固定概念に縛られた結果、「いくら練習しても上手くならない」に陥ってしまう事があります。
その状態を表す為の言葉として「マストの沼」という造語を作りました。

一番分かりやすいのは「失敗してはいけない」でしょうか。一度も転ばずに自転車の運転を覚えようとする人は、何度も転びながら自転車の運転を覚える人の何倍も努力をした結果、結局自転車の運転をマスター出来なかったりするのですが、それと同じ事を無自覚でやっている人が結構います。

似たような所で「本番では完璧な演技をしなくてはならない」というのもあります。この固定概念に縛られた人は演技を小さく無難にまとめる傾向があり、ミスが無いという意味では完璧な演技だけど、何の魅力も無くてつまらない演技になりがちです。
その時の状況にもよるのですが、多くの現場ではそういう演技よりも、小さいミスはあったけど魅力のある演技をした人の方が高い評価をされます。

マストの沼にハマってしまう人の多くは自分が「〇〇しなければならない」「××してはいけない」という固定概念に縛られている事を自覚出来ていない事が多いので、まず、これを自覚する事が問題解決の第1段階になります。

自分がどういう固定概念に縛られているかを自覚する事が出来たら、次に「〇〇しなくてもいい」「××してもいい」という感じで、自分が縛られていた固定概念の逆を言語化して、何度も繰り返し自分に言い聞かせ、無意識レベルまで刷り込みます。
前述した例の場合、「本番で完璧な演技をしなくてもいい」「失敗してもいい」となります。

いわゆるマインドコントロールの一種で、一度無意識に刷り込んだメッセージは簡単には抜けなくなるので、どういうメッセージを自分の無意識に刷り込むかは慎重に決めましょう。

強力であるがゆえにリスクも大きい問題解決法ですが、この問題解決の過程で色々な発見があり、新しい発見をする度にあなたの演技レベルは上がっていく事でしょう。
《固定概念に縛られた人》は現状維持を延々と繰り返すだけなので、《固定概念に縛られた人》と《固定概念を打ち破った人》の差は時間の経過と共にどんどん広がっていくのです。

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